ステージ



キプロスの闘技場


 ヴェネツィア共和国領キプロス。 地中海に君臨する経済大国、ヴェネツィア共和国の東の要所として栄えてきたこの島は、 ヨーロッパ本土から多数の旅客を迎える観光地としてもその名をはせていた。 この島に当時としては画期的な巨大観光施設の建設を計画したのが大商人ロレンツォ・ダンドロである。 大規模な宿泊施設や、イスタンブールやアレクサンドリアから運び込まれた品々を並べた商店、強者たちが集い競う闘技場がその目玉であった。 大海賊セルバンテスが地中海を荒らしまわっていた頃のことである。 ヴェネツィアの強力な海軍によって護られた客船に揺られ、 安全に海外旅行を楽しむことはたとえ王侯貴族であっても人生に一度あるかないかのことであった。

 よってこのキプロスを訪れた観光客たちは、際限なく金を使った。香辛料をふんだんに使った料理、 ギリシアから運ばれた最高級の葡萄酒。その中でもとりわけ観光客たちの気を引いたのが古代ローマ風の趣向をこらした闘技大会であった。 大会には莫大な賞金や貴重な品々が賞品としてかけられ、それを目当てに各国で名をはせた英雄たちがこぞってこのキプロスの闘技大会に参加したのである。

 バルバロスと名乗る男がオスマン帝国を乗っ取り、世界に向けて侵略戦争を起こした後も、 ヴェネツィア共和国の強力な海軍に護られたここキプロスは隆盛を極め、 その代名詞にまでなっていた闘技大会にもより強力な戦士たちが集うようになっていた……。