ステージ



皇帝の間


 神聖ローマ帝国皇帝、謁見の間。
 この城砦に本拠を移したのは、ちょうど皇帝が鉄の仮面を着用するようになった頃からである。きらびやかな装飾や、豪華な調度品の持込を一切許さず、無骨なまでに戦闘に特化したこの城砦に居を移した皇帝を見て、家臣たちはきたるべきオスマン帝国との戦に向けての並々ならぬ決意を感じ取ったものであった。

 しかし皇帝は次第に人を遠ざけるようになり、ついにはこの皇帝の間に出入りを許されるのはただひとり、道化のイスカのみとなった。

 家臣たちは、皇帝の心変わりを、有能な絶対権力者が陥りがちな孤独ゆえと考え、そばに侍るイスカに陰口をたたきつつも、次第に皇帝の傍から離れていった。