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使用武器:棍
武器名:滅法棍(&末法鏡)
流派:真行山臨勝寺棍法奥伝
年齢:19歳
生年月日:2月9日
家族構成:幼き頃から真行山臨勝寺で育つ。詳しくは不明。
出身地:真行山/明 詳しくは不明
身長:167cm
体重:63kg
血液型:A型



キリク‥‥‥滅法棍&末法鏡
 キリクの持つ滅法棍は、肩に掛かった末法鏡と同様、彼が育った真行山臨勝寺に伝わる三宝の一つである。イヴィルスパームの影響で、滅法棍共々邪気に侵されてしまったキリクは、末法鏡の働きとキリク自身の精神力によって完全なイヴィル化を抑えている状態にある。
 この滅法棍が人手に渡ってしまうことは、即ち第二のソウルエッジが生まれることと同義であると言える。義姉の命を奪ったこの棍と、同じく彼女から授かった命でもある鏡と共に、キリクは全ての答えを求め西へと旅立つ。


キリク〜剣聖の石窟
 インド奥地にある石窟寺院。滝が落ちる岩山の上には、池のように流れる川を囲んでいくつかの小窟がある。9世紀ごろにつくられたヒンドゥ窟でもう何百年も人の目に触れられていないが、美しく澄んだ水が流れるこの場所は別世界のような神聖な雰囲気がある。
 キリクの前に現われた謎の老人はここに小屋を建て、世捨て人のように暮らしていた。「一体この老人は何者なのだろう?」多くの謎を含みながらも、自分の内なる邪をコントロールするために今日もキリクは修行に励む。

 

 静けさにつつまれた中国の奥地にある山寺、真行山臨勝寺。ここは、古くから棍術と剣術の総本山として知られていた。歴史に名を残す豪傑の多くはここで武術を学び、時を隔てた今も修行僧が毎日修行を行っている。数十年程前までは世俗との交わりはほとんどなかった臨勝寺だが、過去に近隣の街が盗賊たちに襲われた際、住民たちを守るために修行僧が闘ったことから交流が深まり、今ではその武術の伝承のため、老若男女の別け隔てなくすべての者に門を開いていた。近隣に住む武官の家の者はその技術を更に高めるためにこの寺に通い、農民や商人たちも、盗賊達から身を守るための護身術として、臨勝寺で学ぶことが習慣となっていた。
 臨勝寺の本堂には「滅法棍」「護法剣」「末法鏡」という三つの聖武具が代々伝わっていた。その三宝が一体何のために奉られているのか、その伝説は長い歴史の中で忘れ去られて久しかったが、三宝の内一つも欠かすことなく常に同じ場所に保つという掟は、寺の僧達によって堅く守られていた。

 ある冬の日、臨勝寺の山門の前に一人の乳飲み児が捨てられているのが見つかった。寺人に拾われてから数週間たっても肉親は見つからず、結局その乳児は「キリク」と名付けられ、子坊主として育てられる事となった。キリクは物心ついたときから門人達と共に棍の修行に励み、健やかに育っていった。彼には香蓮という姉とも呼べる人がいた。彼女はキリクと同じく幼い頃から臨勝寺で育ち、キリクとは違って棍ではなく、剣の修行に励んでいる少女であった。香蓮は親の いないキリクを本当の弟のようにかわいがっていた。彼女自身も幼い時に両親と生き別れとなって育ったという身であり、お互いに親近感をもっていたのだろう。
 数年の後、キリクはたくましい青年に成長していた。天性の素質からか、韓老師の元で学んだ棍術の腕は門中随一、人望も厚かったキリクは若いながらも師範代として門下生をまとめるまでとなっていた。そして、二十年に一度の臨勝寺棍法奥伝伝承の儀式において、キリクが正統伝承者に選ばれ、聖武具のひとつ「滅法棍」が授けられる事となった。正統伝承者として三宝の一つ、「滅法棍」を授けられる…。それはキリクが臨勝寺において棍の頂点に立つ事を意味していた。

 冷たい夜風が肌に心地よい。眠れないのか、キリクは鐘つき堂の石垣に腰掛け、月空をぼんやりと眺めていた。ここはキリクのお気に入りの場所だった。ちっちゃい頃、辛い事があるとここへ来て、今のように星空を眺めたものだ。ハッと人の気配を感じたキリクは、後ろを振りかえって見た。……そこにはいたのは香蓮だった。香蓮もまた、「末法鏡」の伝承者に選ばれていたのだ。話しているうちに、二人は昔を思い出していた……。ここは小さい頃、二人で話し込んだ場所でもあった。
 何故、剣を極めた香蓮が「護法剣」ではなく、「末法鏡」を伝承するのだろう?
 キリクは前から不思議に思っていた事を、香蓮に聞いた。その問いに対し、香蓮は静かに話しはじめた。現在、寺には3つの聖武具の内、「滅法棍」と「末法鏡」しか残っていない。もう一つの聖武具、「護法剣」は十数年前に失われたのだと。
 あの聖武具は門人たちの心の支えであった。盗賊の襲来などで、慌ただしかった当時、その有無は臨勝寺の存亡にも関わる重大な事柄だった……。その事実は二十年は経とうかという今日まで一部の者しか知らないタブーとなっている。聖武具の一つが失われたという事実はもちろんだが、それ以上に問題だったのが、「護法剣」を盗んだ下手人が寺の門人だったという事実である! しかも、彼は「棍」の次期伝承者と見込まれていた程の高弟だったのだ……。
 初耳だった。三宝の一つが失われていたなんて。動揺を隠せないキリクを見つめながら、香蓮は言葉を続けた。
 「……それだけじゃないわ。私には「剣」の伝承者になる資格は無いの。……だって「護法剣」を持ち去った男の娘なんですもの。」
 彼女は昔、老師達が話しているのを偶然聞いてしまったのだ。聞かれた事に気がついた韓老師は優しい目で香蓮に言った。「この話と香蓮は関係ない。なぜならば君の未来は君が切り開くものだからだ。決して父親に縛られるものではない。」と。その時まだ幼かった香蓮にとって、その言葉の意味は判らなかったが、やがて、成長するに従い、香蓮は老師の言葉を理解していった。
 ……しかし、やはり私には「剣」の伝承者になる資格は無い。仮に私が「剣」伝承者になったとしても事実を知ったら皆納得しないだろう。それに、伝承者になるために生きている訳ではない……。
 これが彼女の自ら出した答えだった。韓老師も香蓮の意をくみ、ではせめて「鏡」の伝承者にと彼女を推薦したのだった。「鏡」の伝承者に求められるのは武術の腕ではなく、清い心と精神の強靭さである。彼女にはその資格も十分にあった。
 それぞれの想いを胸にしながら、二人とも口を開かない。気が付けば心地よかった夜風も肌寒く感じる。もう明日に備えて眠る時間だ……。二人はそれぞれの寝屋に戻ったのだった。しかし、時を同じくして遠い異国の地で自分達の運命を変える事件が起きつつあろうとは、二人は知る由もなかった。

 その場所とは、はるか離れたスペインの地であった。ある幼き傭兵が迂濶にも禁断の邪剣ソウルエッジに手を触れたのだ。そして、その瞬間、均衡を失っていたソウルエッジは暴走し、放たれた邪念がイヴィルスパームとなって世界中に災いの種を撒き散らしたのである!
 世界中に放たれた邪気の一部は、遠く離れたこの地まで届き、寺に落ちた。その結果、寺に住む者は次々とイヴィル化して理性を失い、互いに殺し合いを始めたのだ。
 キリクもその例外ではなかった。寺の三宝の一つである滅法棍を手に暴れ始めた彼は、その強さゆえ何人もの寺人を倒し、なおも闘いを止めようとしない。
 唯一、末法鏡を肩にかけていた香蓮だけは、イヴィル化を免れた。末法鏡が持つ護りの力に気付いた香蓮は、キリクに近づき、末法鏡をかけようとするが、寺の人々は容赦なく香蓮に襲いかかる!

 目を覚ましたキリクは、何が起こっているのかすぐには理解できなかった。しかし、その混乱の中でも自分自身の身を守るため、襲ってくる寺の人々と闘わなければならなかった。自分を拾って育ててくれた師匠が、幼少の時より共に辛い修行に励んだ友が、修行を始めたばかりの弟弟子も皆、容赦なくキリクに襲いかかり、また互いに殺し合う。いくら必死に呼びかけてみても何も変わらない。激しくぶつかり合う狂気に弾かれて、キリクは寺から逃げ出そうと試みた。だが、次の瞬間、背後から襲いかかる殺気に気付いたキリクは、咄嗟に防御の構えをとった。一番恐れていた物が彼の目に写った。それは、狂気に変わり果てた、しかし、はっきりそれと判る、香蓮の姿であった。とても女性のものとは思えない力で繰り出される剣撃を、必死に受け止めるキリク。疲れが極限に達し、意識が次第に薄れていく。彼は既に目を閉じ、反射的に体を動かしているのみだった。
 やがて、左頬に走る痛みと共に確かな衝撃が彼の手に届く。棍を何か暖かい物が伝ってきて、彼の手に触れる。おそるおそる目を開いたキリクが見た物は彼女の心臓に突き刺さっている滅法棍だった。
 「うあああぁあぁぁぁぁぁぁーーーー……!」
 悲痛な叫び声が夜の闇に響き渡る。後のことは何も覚えていなかった。

 東の空が白んできた頃、もはや静かになった臨勝寺に人影が現れた。その老人は、寺一帯に広がる屍の山と血の川を目の当たりにしながらも眉一つ動かさず、平然としている。やがて彼は、白目を剥いて倒れているキリクを見つけると軽々と抱き上げ、臨勝寺一帯に火を放った後、遠く離れた自分の住み家に連れていった。
 二日の間、キリクは眠り続け、やがて見知らぬ家で目を覚ました。身体中には無数の傷があり、それを手当てした跡もあったが、身体を動かすことはほとんど出来なかった。キリクは自分の目の前の見知らぬ老人が自分を介抱してくれたことに気付いた。
 その老人は、自分が棍法継承者に奥義を伝授する臨勝寺の武術顧問であるということと、どんなことがあっても肩にかかった末法鏡を外してはならないということ以外、何も語らなかった。ただ今は、身体を癒すことだけを考えろと言われ、キリクも黙っていた。

 やがて時はすぎ、何とか歩けるぐらいにまで回復したキリクは、ある夜、南の空を見上げていた。脳裏にあの夜の悪夢が蘇る。
 キリクはどうしても許せなかった。幾ら自分の身を守るためとは言え、捨て子だった自分を育ててくれた人達を、苦楽を共にした仲間を、そして誰よりも慕っていた香蓮を殺してしまった自分が許せなかった。こんな自分が生きていて良い訳がない。キリクは自らの命を絶とうとする。
 しかし、奇妙なものだ。あの悪夢の夜、必死に生き延びようと我を忘れて闘ったのに、今は生きる苦しみから解放されることに執着している。そう思ったとき、キリクははっと気付いた。
 香蓮が身につけていたはずの末法鏡が、何故自分の肩に掛かっていたのだろう。この鏡の力のおかげで生き残ることができたとするならば、姉さんは何故命を捨ててまで末法鏡を自分に託したのだろう。もしこれが、香蓮から託された「命」だとするならば……。
 教えてくれ、姉さん。俺は何故生きねばならぬのか……!

 「その答えがいずれわかるときが来る。」
 苦悩する背中に語りかけたのは、キリクを助けた老人だった。
 その晩、老人は今までの沈黙を破り、語り始めた。イヴィルスパームに起因する寺の惨劇の真相、完全なイヴィル化は免れたものの、キリクだけでなく滅法棍までもが徐々にイヴィル化しつつあること、末法鏡はキリクと滅法棍のイヴィル化を抑える力があること、もしそれを外す事があれば、その瞬間邪気に取り込まれ寺人と同じ運命を辿るだろう。滅法棍を手放せば、それが種となって新たな惨劇となる。つまり、キリクと滅法棍、末法鏡は、常に一つであらねばならない。そして老人は語った。ソウルエッジという名の邪剣のことを……!
「このわしがそうであったように、お前も生きねばならんのだ。」
 老人の瞳は、全てを見通しているかのごとく深い輝きを放っていた。

 老人の元で修行する決意したキリク。ともすればイヴィル化してしまう自分をコントロールする術と、真行山臨勝寺棍法の最終奥義を体得するため、激しい修行に明け暮れる毎日が続いた。気が付けば三年もの月日が経っていた。
 「キリクよ、これが最後の修行となるだろう。」
 最後の修行……それは、呪われたその身を浄化する為の旅に出ることだった。「全ては西にある。」老人の言葉を胸に、第二のソウルエッジになりかねない滅法棍を手にキリクは旅立ったのである。

   

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