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使用武器:ヌンチャク
武器名:覇汀原(ふぁてぃばる)※ヌンチャクの1本ずつは、各々「東風(こち)」「南風(はえ)」
流派:七閃架裏破手(しっせんかりはでぃ)
年齢:24歳
生年月日:5月1日
家族構成:両親は既に他界。義兄弟キャン。家族同様の子分たちがいる。
出身地:首里/琉球王国
身長:174cm
体重:57kg
血液型:O型



マキシ‥‥‥覇汀原(ふぁてぃばる)
 マキシが使用する木製のヌンチャク。マキシ率いる海賊の一員であるヤガジが製作。
 ヤガジは、マキシのために幾つものヌンチャクを作り続けてきたが、戦闘の度に壊されてしまうため、改良を余儀なくされてきた。試行錯誤の末、ヤガジは硬質で耐久性に富んだバリサンダという木材を使用して、この覇汀原を完成させた。マキシの非凡な腕力と、七閃架裏破手の特徴を考慮した、真にマキシのためのヌンチャクと言えるだろう。ちなみに、両端の棍にはそれぞれ東風(こち)と南風(はえ)という名前が付いている。

 

マキシ〜あるインドの港街
 マキシが物資調達の為に立ち寄ったインドのとある港町。
 インドでは水辺が神聖視されており、水際には階段状のテラスが連なっている。ガートと呼ばれるこのテラスから続く街並みは住居や寺院や店が所狭しと立ち並び、細い路地が迷路のように入り組んでいて、土地勘の無い人は必ず迷子になってしまうらしい。
 マキシにとってこの灰色の海は、義兄弟キャンと多くの仲間の魂が眠る宿命の場所となった。アスタロスに沈められた船のむこうの水平線を見つめ、マキシは復讐を誓った。

 

 「息子よ……、この広い世界を見てくるがいい。決して私のように家に縛られ、世界を目前にしながら後悔するような男にはなるなよ……。」
 男はこう遺言を残してこの世を去った。その男の息子、真喜志(マキシ)は物心ついた頃から父親の商船に乗って育ってきた。真喜志の父親は琉球皇帝の信任厚き宮廷付貿易商であったが、異国を目の前にしながら、仕事に追われる彼にそれら異文化との交流は許されなかったのだ…。そんな家業に対するはがゆい思いからか、息子の真喜志には昔からなるべく異文化と接する機会を与えてきた。航海を共にし、異国の港を体験させ、時には密航者も船に乗せた。また、自らの身を守る術として、武術も学ばせてきた。真喜志本人も武術は好きで、青年になる頃には、ヌンチャクの腕前にかけては敵知らずの強さになっていた。そんな真喜志がちょっと天狗になっていても不思議ではない。
 ある年の日本から明国へ向かう航海の時のこと、船上にはただ者ではない容貌の明国人の姿があった。強い意志を秘めた目を持つその男は、張武(チャン・ウー)という自分の名しか語らなかった。船長である真喜志の父親も何も聞かなかった。
 「あんた、ヌンチャク使いなんだってなあ。ひとつ、手合わせしないか?」
 昔から真喜志と義兄弟として育った喜屋武(キャン)という男が止めに入る。しかし真喜志は聞かなかった。彼は義弟の制止を振りきると男に挑んでいった。張武と名乗る男は無言で懐から刃のついたヌンチャクを取り出すと、一瞬で真喜志の手からヌンチャクを弾き飛ばした。ただ呆然と空になった自分の手を見る真喜志の前に立つ男の瞳は「世界」が真喜志が知る以上に広いことを語っていた。
 その航海で真喜志は、流派こそ違うが張武のヌンチャクの技法から多くを学んだ。張武は明の港で何処とも無く去っていったが、その後も真喜志は彼の技を研究してそれらを身につけ、更に彼なりの改良を加えていったのだった。
 「あばよ、親父。俺はあんたが見れなかった世界を見てくる。暫くここには戻らねえ。」
 真喜志はそう言うと、父の墓を後にした。
 後に残された財産を使って彼が用意したのは、真喜志と以前から航海を共にしてきた船の仲間を中心とした乗組員達、そして一隻の帆船であった。
 俺は自由気ままに世界を旅する海賊になる。
 真喜志は父親が死んだときからそう決めていた。数日の内に準備をととのえると、彼は喜屋武をはじめとする仲間達と共に大海原へと漕ぎ出した。海賊・真喜志一家誕生の瞬間である。日本、李氏朝鮮、そして明…。時は過ぎ、その間確実に世界を見てきていた彼等は西にあるというヨーロッパへ向かうため、ここインドの港町にやってきたのだ。

 キリクと名乗る少年が現れたのは、もう日も暮れかけた頃だった。船長の真喜志は港の様子を見に出かけたまま、まだ戻っていなかった。そして、船では面倒見の良い喜屋武が留守をあずかっている。いつもの事だ。
 「だめだ、これだけは!」
 騒ぎが起きたのに気付いた喜屋武が船の入口にやって来て見ると、そこでは番をしていた一家の者が一人の少年にくってかかっていた。喜屋武はすばやく状況を察した。
 どうやら、船に乗りたがっているようだ。……運賃がらみか。
 二人の間に入って話を聞いてみると、このまだ少年らしさの残る面立ちのキリクと名乗る東洋人は西へ行くために船に乗りたいという。そこで番をしていた部下は運賃がわりとして、キリクが身につけていた鏡を要求したが、これだけはだめだと断られたという。
 この鏡は死んだ姉の形見だとキリクは語った。喜屋武はキリクの話を聞きながら、自分の首にさげた首飾りをいじくっていた。この首飾りは真喜志の父親が死んだとき、形見として真喜志の父親本人から託された物だった。まだ幼い頃に拾われて以来、彼を育ててくれた真喜志の父親から見れば、喜屋武もまた、息子だったのだ。実子である真喜志に船を残した彼は、航海のお守りとして常に身につけていた首飾りを喜屋武に残したのである。
 「……喜屋武さんがその手の話に弱くて助かったな、小僧。」
 先程までキリクと言い合いをしていた男が苦笑しながら口を開く。しかし喜屋武は語るキリクの表情が一瞬暗くなったのを見逃さなかった。だがその理由については何も聞かず、黙っていた。……それはまるで真喜志の父が張武に見せた態度のようであった。
 「いい目をしてるねぇ。あんた気に入ったぜ。真喜志の兄貴には俺から頼んでやるよ。」
 喜屋武はキリクを元気付けるように明るい口調でそう言うと、キリクを船に迎え入れ、真喜志の帰りを待つことにしたのであった。
 しかし、時を同じくして海上にひと固まりの暗雲が立ち込めはじめる。瞬く間に風が強くなり、豪雨が港を襲った。その中を一隻の船が雷鳴と共に迫ってくる。その船は停泊していた海賊達の船に音も無く横付けしたと思うと、瞳に輝きのない化物の集団が突然乗り込んできて海賊達を襲いはじめたのである。降りしきる雨の中、喜屋武の号令で海賊たちも応戦する。当然キリクも滅法棍を携えて加勢し、港は大騒ぎとなった。

 一方その頃、真喜志は夜の港町を歩いていた。なにしろここは初めて来る港町だ。船長のオレは一家の誰よりもこの街を詳しく知っておく必要がある。自分に都合の良い話を喜屋武に押しつけて、彼は一足先に楽しんでいたのだった。そんな真喜志がある店から出て来たところ、どうも港の方が騒がしい。港の方から来る人を捕まえ尋ねたところ、どうやら喧嘩らしい。しかも東洋から来たという、つまり自分の船で起きているらしいではないか。
 「俺達一家に喧嘩をふっかけてくるとは、どんな奴等だ……!」
 そうつぶやくと彼は真っすぐ港を目指して走りはじめた。

 「邪気に犯されながら、そこまで自我を保っていられるとは……?」
 リザードマンや泥人形に囲まれながらも棍を巧みに操り、海賊達と共に必死で抵抗するキリクを見て、アスタロスはつぶやいた。聞いていた話と少し違うではないか。
 どう考えてもおかしい。確かに奴からも、あの棍からもかなり濃いソウルエッジの邪気を感じられるのに、奴は正気を保っている……。なにか理由があるはずだ……。そうか、あの鏡だな!
 「おかしいじゃねぇかよぉ、邪気に犯されてる奴が自制してるなんてよ! ……殺しまくった事があるだろう、思い出せよ、感情の高ぶるままにやり合おうぜぇ! その邪魔な鏡、オレが叩き割ってやらあ!」
 アスタロスはそう叫ぶとキリクに向かって歩き出した。化物共に囲まれたキリクには逃げ出すこともままならない。たちまち追い詰められてしまう。だが、あからさまにキリクの胸の末法鏡を狙おうとするアスタロスに飛びかかる影があった。
 喜屋武。あきらかに彼はキリクにかつての自分を重ねていた。大切な人との絆を破壊しようとする者を彼は許せなかったのだ。

 息をきらしてマキシが船に戻ってきた時、船上からは断末魔の叫びや金属のぶつかる音が聞こえていた。どうやらまだ決着はついていないらしい。勇んで船にあがろうとした彼の横に何かが落ちてくる。それは見覚えのある入れ墨が彫られた、仲間の腕だった。険しい表情になったマキシは足を速めて、一気に甲板に踊り出た。
 「何者か知らねえが、覚悟はできているんだろうな!」
 しかし、そこに広がっていた光景は彼の想像を絶する物だった。瞳に輝きのないトカゲと人間を掛け合せたとしか言いようのない異形の群れが、一家の仲間達を一方的に虐殺している。その中に棍を振るう人物がリザードマン達に囲まれながら、奮戦しているのが見えた。見知らぬ男だが、どうやら味方らしい。彼はよく戦っているが、ほとんどの船員達は成す術もなくやられていく。暗くてよく見えないが、おそらくは敵の首領であろう巨体の男の影が、やはり巨大な斧を振り回している。その刃が唸りをあげる度に、元は人間の形を成していたであろう肉片が宙を舞い、昨日まで酒を酌み交わしていた仲間の首が床を転がる。果たして自分が浴びているのは、降りそそぐ雨なのか、荒波の水しぶきなのか、それとも殺された仲間の体から吹き出た血なのか、その区別もつかぬほどの惨劇だった。不意に海原を揺るがす轟音と共に稲妻が落ちた時、閃光の中マキシの目に写ったのは、致命傷を負った仲間の首を掴み、無残にも犠牲者の体を宙に掲げながら雄叫びをあげる巨大なアスタロスの姿であった。その男の首にかかっていた首飾りがマキシの目から離れなかった。
 「ぐ……! う、うおおおおおおおおおおおおっ!!」
 逆上してアスタロスに向かっていこうとした真喜志だったが、異形の集団に阻まれて思うように進めない。何匹もの化物をヌンチャクで打ちのめし、なんとか道を開こうとする。その間に喜屋武の体を離したアスタロスは、棍使いの男に近づいていく。状況から察するに、棍使いは敵ではないようだが、そんなことは今の真喜志には関係がなかった。必死の思いで囲みを打ち破り、喜屋武の元へ駆け寄る。致命傷だったが、彼にはまだ息があった。
 「大丈夫だ、喜屋武。たいした傷じゃない、まだ大丈夫だ。」
 もう喜屋武は助からない。真喜志は判っていながら、そう言った。喜屋武はかすかな声で何か答えを返そうとしたが、何かが甲板に落ちる音にかき消された。
 「クックック……。そうだ、そうでなくてはなぁ……。」
 喜屋武に致命傷を追わせた巨人の声が、真喜志の耳に響く。真喜志は一撃を加えんと、声の主の方に向き直った。だが、倒すべきアスタロスは真喜志に背を向け、自分たちの船に乗り込むところだった。
 「こいつはまだまだ強い魂に成長する素質がある……。時が熟すまで生かしといてやるとするか。引き上げだ!」
 「逃すか!」
 真喜志はアスタロスとの間に立ち塞がる化物共を蹴散らすべく歩を進めようとしたが、一歩も動けなかった。ただならぬ殺気を感じたのである。目の前の化物共の物でも、アスタロスの物でもない……。背後からだ。思わず振り向いた真喜志の目に写ったの物は甲板に転がる末法鏡。そして、目を見開き、荒々しく息をついて殺気を発しながら、棍を構えてこちらへ向かってくるキリクだった。
 「化物共といい、こいつといい、一体何だってんだ……!」
 思わず反撃しようと構えた真喜志の足を喜屋武がつかむ。喜屋武はキリクに起きた変化から察していた。キリクは以前にこの様な状態になったことがあるのだろう。おそらく彼の姉という人物をもキリク本人が殺めてしまったのだ……と。そんな喜屋武の目を見た真喜志は一言つぶやいた。
 「わかったよ、あいつを殺しはしないさ。」
 他ならぬ喜屋武の最後の望みである。聞かないわけにはいくまい。それにあの棍術使いは船の人間でもないのに、共に戦ってくれたのだ。理性を失ったキリクは、まだ船上に残っていた化物共をなぎ払いながら近づいてくる。もはや敵、味方の区別などしていない。あっと言う間に真喜志を棍の間合いに捕らえると、キリクは棍の一撃を見舞った。かろうじて真喜志はそれを避ける。同時に真喜志の周りで化物共が数体、弾け飛んだ。
 「衝動に身を委ね、周りの魂を喰らい尽せ! そうすりゃあ、すぐに極上の生贄になれるだろうぜ……!」
 アスタロスの笑い声がだんだん遠のいていく。船が離れていったのだ。口惜しいが今は自分の身を守るので手いっぱいだ。真喜志はキリクの変化の原因を読み取ると、棍をかわしつつ、末法鏡に手を伸ばした。数分後、かろうじて鏡をキリクに接触させることに成功した真喜志は、やっと一息ついて周りを見ることができた。
 既に傾きはじめた船上には海賊達と数体の化物共の死体から流れる血で赤く染まっていた。忌まわしき船はとっくに水平線の向こうへ姿を消し、キリクは鏡に触れると同時に気を失って倒れている。喜屋武はまだかすかに息をしていた。
 「兄貴……キリクを西へ連れて行ってやってくれ。そして、その目で世界を見てきてくれよ。俺達の代わりに……」
 「喜屋武。無理にしゃべるな。さあ、降りるぞ。この船はもう沈んじまう。」
 真喜志は無理に笑って言った。しかし、喜屋武は笑いながらこう答えた。
 「いや……。俺はここでいい。海賊が陸で死ぬわけにはいかねぇだろ……?」

 真喜志はまだ気を失っているキリクを抱えて港へ降り、船が沈むまで海を眺めていた。
 ……キリクといったな。一家の長として、この危なっかしい戦友をほっとくわけにはいかねえ。それに奴等、キリクの前にまた姿を現すにちがいない……。その時の為に俺は今、生きているんだ。
 一家の墓標となった船を見つめながら復讐を誓う真喜志。その全身にあびた返り血を幾分弱くなった雨が洗い流していた。

   

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