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使用武器:忍者刀
タキ〜方広寺 〜地下大仏殿〜
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想像を絶する闘いであった。これまでに彼女が始末してきた妖怪共などその比ではない、圧倒的な負のエネルギーとの衝突。彼女自身が長きに渡り改良し続けてきた鎧は、その邪な波動に絶えきれず無数の亀裂が入り、封魔の術の数々はことごとく撥除けられた。そして自慢の愛刀裂鬼丸も、狂気の海賊船長の断末魔の叫びと共に粉々に砕け散った。
彼女の目の前で邪剣の一本を破壊し傷ついて倒れた少女を抱え、タキは港町を離脱した。背中で邪気の暴走-イヴィルスパーム-を感じながら……。
セルバンテスとの戦闘で傷ついたソフィーティアに、できるかぎりの治療を施したタキは、彼女を家族のもとへ送り届けた後、ソフィーティアの傷口より摘出したソウルエッジの破片と共に帰国の途に就いた。その長い道のりで、彼女は国を出る前のことを思い出していた。
……あれは、まだ裂鬼丸がソウルエッジと共鳴し始める前だった。タキを拾って育てた忍び一族の頭領トキから、ある日突然召喚命令を出された。
トキと共に一族の取りまとめてきた八兵衛が、トキが持っていた霊刀滅鬼丸を奪い、千恵を伴って姿を眩ましたという。いわゆる「抜け忍」になったのである。トキは集った部下に対し、
「八兵衛を探し出し、滅鬼丸を奪い返せ!奴の生死は問わない。」と告げた。しかし、必要以上に強い殺気を放つトキに対して、タキは初めて疑惑の念を持った。
隠の術を得意とする八兵衛を探すことは、もはや一族の誰にもかなわなかった。だが、タキはその類稀なる情報網と天性のカンを以てして、誰よりも早く八兵衛が潜んでいる場所を限定、最後には幼馴染みだった千恵の気配を追うことで、八兵衛を探し出すことに成功した。
二人は、人通りの少ない道端で菜飯屋を営んでいた。一瞥して只者ではない風貌の男が一緒に暮らしていたが、タキは面倒を避けてその男が留守の間に八兵衛に接触した。八兵衛はタキの姿を見て驚いたが、次の瞬間その表情は安堵の色に変わった。そして、隠し持っていた滅鬼丸を取り出して、時折咳き込みながら話しを始めた。
「トキの目は狂気に憑かれて雲っておる。すべては、この滅鬼丸が災いしておるのだ。」
トキから奪ったその刀は、あまりに静かでどうみてもなまくらにしか見えないが、八兵衛の話では途方もない霊力を秘めているという。
「トキは以前のトキではない。これが再び奴の手に渡ったならば……。私はもう限界だ。これ以上逃げきれん。タキよ、頼む。この刀を預かってくれ。くれぐれも奴の手には渡らぬよう……」
八兵衛は体を病んでいた。もはやトキに見つかるのは時間の問題である。新たな事実を知ったタキは、トキへの疑念が徐々に膨らんで行くのを感じずにはいられず、とりあえずは二人を逃がすために一芝居打つ。
誰の手も届かないところに滅鬼丸を隠し、真相を確認するため再びトキの元を訪れたタキ。
「千恵と恋仲だった中国人が滅鬼丸を奪ったらしい。二人は既に殺されていた。」
報告を聞いたトキは不敵な笑みを浮かべた後、中国人を追うよう部下に命令した。しかし、やはりトキは以前のトキとはまるで変わっていた。その瞳は明らかに邪気に支配されており、タキはその邪な瞳に隠されたトキの狂気を見逃さなかった。タキの中で疑念が確信へと変わった。
時を同じくして、裂鬼丸の様子が急変する。潜在能力以上の力を発揮し始めた愛刀が、遠い異国の邪剣と共鳴していることを悟ったタキは、海を渡ったのである……。
邪剣の破片を入手して帰国したタキは、破損した愛刀・裂鬼丸にソウルエッジのかけらを打ち込んでみた。しかし、相性が合わずに断念。そんな折、恩師トキが放ったと思われる刺客の襲撃が相次ぐ。難なく返り討ちにするものの、刺客達の狙いが八兵衛から授かった霊刀滅鬼丸であることが判明する。
「滅鬼丸には恐ろしいほど強力な力が秘められている。」
八兵衛の言葉を思いだしたタキは、隠しておいた滅鬼丸とソウルエッジの融合を試みた。すると二つの物質は吸いつくようにお互いが絡み合い、一本の刀になったかと思うといよいよ邪悪な気を放ち始めた。おそらく凡人の目にも十分見て取れる程に強力な衝気。この刀の潜在能力を悟ったタキは、反射的に滅鬼丸を鞘に収め、封呪の札で包み込んだ。しかし、滅鬼丸の力を抑え込むため力を使い過ぎてしまった。
とその瞬間、タキはトキの懐刀・ゲキをはじめとする手足れの忍びに捕らえられてしまう。疲労しきったタキは強力無双のドキに抑えられ、ゲキはその手から滅鬼丸を奪い取る。
「タキの姐さんよぉ。悪いがこの刀はトキ様のモンだ。あんたは上手く俺たちをだましたつもりだろうが、全てはこちらの筋書き通りだ。あんたにゃ消えてもらうぜ。」
「……ゲキ……それを抜いてはダメだ……!!」
しかし、不注意にも滅鬼丸を鞘から抜いてしまったゲキの右腕は、どす黒い衝撃波で吹き飛んでしまった。竹林に木霊するゲキの絶叫。唖然とするドキ、ガキのスキを突いて、タキは滅鬼丸を取り返して走り去った。
「このような刀が人手に渡ってはならぬ。ましてやトキには……。」
丁度同じ頃、大陸から新たな邪剣と狂戦士の噂が日本に伝わる。タキは、裂鬼丸が未だに何かと共鳴し続けていることから、それが破壊されなかったもう一方のソウルエッジであることを悟った。
ソウルエッジと滅鬼丸。世に災いをもたらすこれらの存在をこの世から完全に消し去るため、二つをぶつけて相打ちにしようと考えたタキは、ナイトメアの持つソウルエッジを目指す。
八兵衛と同じく抜け忍となったタキ。彼女を襲う刺客達は皆トキの息の掛かった強者ばかり。右腕を失った恨みの矛先をタキに向けた強敵ゲキと様々な術を使うその手下たちの追跡を払いのけながら、封魔の朧影は再び西へと旅立つ。
そして今、イヴィルスパームの影響で大幅に力を増した猛怒託妖が、タキの施した竹林祠の封印を破って地下の水脈に逃れた。行き着く先はおそらく京の都は方広寺大仏殿。歪んだ思想の元に建立された狂気の建造物が、奴との決戦場となるだろう。
しばらくは滅鬼丸と運命を共にする決意をしたタキは、腰に携えた滅鬼丸を見つめて考えた。
「これほどまでの刀とは……。しかし、何とか使いこなせないものだろうか……。」
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